長崎県にある現・平戸市では、1550年にフランシスコ・ザビエルによってキリスト教がもたらされました。
当時のこの地域は海外交易が盛んだったこともあり、ポルトガル人による布教活動がなされたのです。
キリスト教が広まると、平戸を治めていた松浦隆信は家臣に命じて平戸をキリスト教の繁栄地として決定し、色々なキリシタン文化が発展していきました。
今回は、平戸市に焦点を絞り、キリスト教にちなんだ観光スポットを紹介していきましょう。
目次
平戸ザビエル記念教会(ひらどざびえるきねんきょうかい)

平戸ザビエル記念教会は、平戸市を代表する観光スポットの一つです。
フランシスコ・ザビエルは義務教育で誰もが習う有名人の一人。
彼は生前、平戸に3度も訪れキリスト教の布教に尽力していることで知られています。
そんなザビエルに敬意を表し、こちらの教会は建設されました。
エメラルド色の輝く外観と尖塔が美しいゴシック様式が特徴で、いつも観光客で賑わっています。
平戸市におけるキリシタン文化を知るうえでは欠かせないスポットですから、忘れずにチェックしてください。
カトリック田平天主堂(かとりっくたびらてんしゅどう)

カトリック田平天主堂は、平戸市平町に位置する教会です。
江戸時代のこの地域では、いわゆる「潜伏キリシタン」が多数を占めていましたが、近代に入りキリスト教が認められるようになると神父が常駐するようになります。
その後、地域の発展とともに人口も徐々に増えていきました。
地域が豊かになるにつれて住民たちの間では、本格的な教会建設の動きが活発になっていきます。
そして1918年、教会建築の専門家、鉄川与助の手により晴れて同教会の建設にいたります。
レンガ積み手法で作られた外観は、懐かしさと温かみが混在するデザインで地域の人たちからも親しまれています。
また、教会正面のドーム型の鐘塔は、シンプルながらも本格的な作りとして有名です。
2003年には、国の重要文化財にも指定されました。
カトリック田平天主堂へお越しの際は、周辺の司祭館や石垣、石段の遺跡物などと一緒にご覧ください。
紐差教会(ひもさしきょうかい)

紐差教会は、平戸市紐差町の教会です。
非常に大きな天主堂をいただく教会で、一時は日本最大の天主堂と謡われたこともあります。
外観は典型的なロマネスク様式。
ロマネスク様式とは、中世ヨーロッパで見られた建築様式で、教会建築の中では最高の技術や芸術要素がちりばめられているとされています。
こちらの教会も、カトリック田平天主堂と同様、鉄川与助により設計されました。
随所に細工された花柄模様の美しさと、陽光で色づくステンドグラスのコントラストが神秘的です。
見学は可能となっていますが教会ですので、きちんとマナーを守って礼拝をしましょう。
宝亀教会(ほうききょうかい)

宝亀教会は、宝亀集落内でも奥地の山あい部分に建っている教会です。
建設されたのは1898年で、平戸市に現存する教会の中でも最も古い教会として名が知られています。
建築学上、とてもユニークな造りがされており基礎部分には石、外壁にはレンガ、屋根には瓦葺き(かわらぶき)が用いられています。
教会の規模は小さいものの、こちらも平戸市を代表する立派な教会の一つですから、足を伸ばしてみてください。
平戸市切支丹史料館(ひらどしきりしたんしりょうかん)

江戸時代、幕府からキリシタンたちが厳しい弾圧を受け続けたことは、みなさんもご存じのとおりです。
俗に言う「禁教令」ですが、この命令により、キリスト教徒は明治になるまで迫害され続けました。
平戸市においても弾圧が行われ、キリシタンたちが苦境に立たされていたのは言うまでもありません。
平戸市切支丹史料館は、そんなキリシタンたちが幕府に隠れて信仰を守り続けた歴史や、その歴史にちなんだ資料を収めた史料館です。
館内には、多数の資料の他にも、当時のキリシタンたちが使用した祭具や禁教令で実際に使われた高札などが展示されています。
駐車場完備のうえ無料で利用できますので、車を利用する人でも安心です。
焼罪史跡公園(やいざしせきこうえん)

焼罪史跡公園は、平戸市におけるキリスト教の歴史に思いを馳せるうえで、とくに押さえておきたいスポットの一つでしょう。
この公園のある場所では、17世紀にイタリア人宣教師のカミロ・コンスタンツォ神父が火刑にされた歴史があります。
禁教令の最中にもかかわらず、キリスト教の布教活動と救済事業を行っていたことが幕府の逆鱗に触れたのが原因です。
同公園では、そんなカミロ神父の死を悼みモニュメントが設置されています。
このモニュメントには、業火に焼かれつつも信仰を捨てようとしないカミロ神父が描かれています。
毎年秋には、カミロ神父の殉教際が催されていますので、興味がある方は参加してみるとよいでしょう。
崎方公園(さきがたこうえん)
崎方公園は、展望台を中心に数々の観光スポットが設置されている公園です。
こちらの公園には、フランシスコ・ザビエルを称える記念碑のほかにも、平戸で初めて建設された教会の跡地があります。
また、例年4月ごろとなると桜と平戸つつじが咲き誇ることでも有名で、花の見ごろの季節になると地域住民と観光客で園内がいっぱいになります。
まとめ
日本史の中でも、キリスト教の布教活動が特に活発だったのが長崎県の平戸市です。
同市には、禁教令の発布中にもかかわらず多くの信者が信仰を誓い、そして長い年月、弾圧に耐え忍んできた歴史があります。
そういった理由もあり、平戸の地には教会やその跡地、殉教者を悼むモニュメントなどキリスト教にちなむ数々のスポットがあります。
キリスト教文化と触れ合いたい人にはおすすめの観光名所ばかりですので、関心のある方はぜひ平戸市でキリシタンの歴史ツアーを楽しんでみてください。
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